歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の違いについて
歯石は、プラーク(歯垢)が唾液中のミネラルと結合して硬化したもので、放置すると歯や歯周組織に影響を与える可能性があります。歯石には大きく分けて歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の2種類があります。それぞれの違いについて詳しく説明します。
1. 歯肉縁上歯石
場所
- 歯肉(歯ぐき)の上に形成されます。
- 歯の表面や歯と歯の間、特に唾液腺の開口部(下前歯の裏側や上奥歯の外側)に多く見られます。
見た目
- 色は白色または淡黄色。
- 表面はザラザラしており、肉眼で確認しやすいです。
特徴
- 主に唾液中のミネラル(カルシウムやリン酸塩)によって形成されます。
- 成長が早く、早期に気づきやすい。
- 歯ブラシでは除去できず、歯科医院で専用の器具や超音波スケーラーを用いて除去する必要があります。
影響
- 見た目が悪くなる。
- 食べ物や飲み物の色素が付着しやすく、着色汚れの原因に。
- 歯周病の初期段階である歯肉炎を引き起こす場合があります。
2. 歯肉縁下歯石
場所
- 歯肉(歯ぐき)の下、歯周ポケット内に形成されます。
見た目
- 色は茶褐色または黒色。
- 肉眼では見えにくく、歯科医師や歯科衛生士がプローブ(探針)やX線で確認することが一般的です。
特徴
- 血液や炎症由来の成分を含むため、硬くて付着が強固です。
- 成長が遅いものの、長期間放置すると歯周病の進行を助長します。
- 歯肉縁上歯石と比べて除去が困難で、より高度な歯科治療が必要になる場合があります。
影響
- 歯周ポケットを深くし、歯周病を悪化させる。
- 歯槽骨(歯を支える骨)の吸収や歯の動揺、さらには歯の喪失につながる可能性がある。
- 口臭や持続的な歯肉の腫れ、出血の原因となる。
歯石の予防方法
歯石そのものを完全に防ぐことは難しいですが、以下のような対策で形成を遅らせることが可能です。
- 毎日の正しいブラッシング
- 特に歯と歯肉の境目を丁寧に磨く。
- デンタルフロスや歯間ブラシを活用してプラークをしっかり除去。
- 定期的な歯科検診
- 3~6か月ごとに歯科医院でクリーニング(スケーリング)を受ける。
- 生活習慣の改善
- 健康的な食生活を心がけ、糖分の摂取を控える。
- 喫煙を控える。タバコは歯石の付着を促進します。
- 洗口剤の活用
- プラーク形成を抑える成分を含む洗口剤を使用する。
まとめ
歯肉縁上歯石は比較的軽度で視覚的にも気づきやすいのに対し、歯肉縁下歯石は見えにくく、歯周病の大きな要因となることがあります。歯石を早めに取り除き、歯や歯肉の健康を守るためには、セルフケアと歯科医での専門的なケアの両方が欠かせません。
日々のケアを見直し、歯の健康を長く保ちましょう!