インプラントと骨はどんな状態になる?
インプラントを1次手術で埋入した直後は、インプラントと骨は機械的な嵌合力で骨の中に固定されます。
いわゆる、石膏ボードにネジをドライバーでねじ込んだのと同じ状態です。
もし、ただの機械的嵌合力だけでインプラントが骨に植立されていたとしたら、咬合力を加えたるとインプラントはたちまち脱落してしまうでしょう。
なぜなら、骨はスポンジのような多孔質な組織で、インプラントのネジ山を機械的嵌合力だけでは、そこまで強固に固定させておく力がないためです。
インプラントが骨にくっつく状態(オッセオインテグレーション)とは?
オッセオインテグレーション(Osseointegration)とは、チタン製のインプラント体と顎の骨が直接的に結合する現象を指します。この結合により、インプラントが骨と強固に固定され、天然の歯に近い機能を発揮することが可能となります。
1952年、スウェーデンの学者ペル・イングヴァール・ブローネマルク博士が、チタンと骨組織が拒絶反応を起こさずに結合することを偶然発見しました。この現象を「オッセオインテグレーション」と名付け、以降、歯科インプラント治療における重要な概念として広く認識されています。
オッセオインテグレーションが成功することで、インプラントは顎の骨にしっかりと固定され、噛む力が骨に直接伝わるため、天然歯に近い咀嚼機能を実現できます。しかし、この結合が不十分な場合、インプラントの安定性が損なわれ、治療の成功率が低下する可能性があります。
オッセオインテグレーションを成功させるためには?
オッセオインテグレーションを成功させるためには、インプラントを埋入してしばらくは、インプラントに負荷をかけない事が重要となります。
細菌では、チタン単体よりもジルコニアをミックスしたインプラントの表面性状を持ったものの方が、オッセオインテグレーションを早く実現できるとされています。
また、オッセオインテグレーションの成功には、患者さんの全身的な健康状態や生活習慣も影響します。例えば、喫煙や糖尿病などは骨の治癒を妨げ、結合を阻害する要因となることが知られています。
インプラント治療を検討する際は、オッセオインテグレーションの重要性を理解し、適切な生活習慣や全身の健康管理を心がけることが大切です。