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骨粗鬆症治療を受けている方が歯科治療を受ける際の注意点
骨粗鬆症は骨がもろくなり、骨折のリスクが高まる疾患で、多くの場合、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブなどの薬が治療に使用されています。これらの薬は骨の代謝に影響を与えるため、歯科治療を受ける際に特別な注意が必要です。本記事では、骨粗鬆症治療を受けている方が歯科治療を受ける際に気を付けるべきポイントについて解説します。
1. 薬の影響を知る
骨粗鬆症治療薬の中でも、特に注意が必要なのは以下の薬剤です:
- ビスフォスフォネート製剤(例: アレンドロン酸、リセドロン酸)
- デノスマブ(商品名: プロリア)
これらの薬は骨吸収を抑える作用がありますが、まれに「顎骨壊死」(あごの骨が壊れる症状)を引き起こすことがあります。このリスクは特に抜歯や外科的な歯科治療の際に高まるため、事前の適切な対応が重要です。
2. 歯科治療前の主治医との連携
歯科治療を受ける前に、現在の薬の種類や投与期間について、歯科医師と骨粗鬆症の主治医の間で情報共有を行うことが大切です。特に以下の点を確認してください:
- 使用している薬剤の名前と投与期間
- 骨粗鬆症治療の継続が必要かどうか
- 歯科治療に際して薬の一時中断が可能か(「休薬」と呼ばれます)
3. 抜歯やインプラント治療時の注意点
抜歯やインプラント治療など、あごの骨に影響を与える治療を行う場合、以下の点に注意が必要です:
- 事前の抗菌治療:感染予防のために抗生物質を投与する場合があります。
- 休薬の検討:ビスフォスフォネート製剤を長期間服用している場合、主治医と相談の上、休薬を検討することがあります。ただし、薬の効果が長期間持続するため、休薬してもリスクが完全にゼロになるわけではありません。
- 治療後の経過観察:治療後の感染や顎骨壊死の早期発見のため、治療後も定期的に歯科医師に診てもらいましょう。
4. 定期的な口腔ケアの重要性
骨粗鬆症治療中の方は、歯科治療時のリスクを最小限に抑えるために、日常的な口腔ケアを徹底することが大切です。
- 毎日の歯磨きとフロスの使用
- 定期的な歯科検診
- 口腔内の炎症や感染の早期発見
5. 自分でできる予防策
- 十分なカルシウムとビタミンDを摂取することで、骨の健康を保ちます。
- 禁煙や過度な飲酒を避けることで、骨と歯茎の健康を守ります。
- 体調に異変を感じた場合は早めに医師に相談しましょう。
まとめ
骨粗鬆症治療を受けている方が歯科治療を安全に行うためには、事前の準備と適切な情報共有が不可欠です。歯科医師と骨粗鬆症の主治医の連携を図りつつ、口腔ケアを徹底することで、リスクを最小限に抑えることができます。歯科治療を受ける際は、遠慮なく歯科医師に自身の治療状況を伝え、最適な治療を受けましょう。