MTAセメントとは?
MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate)は、歯科治療で使用される特殊なセメントで、主に以下の特徴を持つ歯科材料です。
1. MTAセメントの成分と特性
MTAセメントの主成分は、以下のような無機化合物です:
- 三酸化鉱物(Mineral Trioxide):主な成分
- 酸化カルシウム
- シリカ酸塩
これらの成分が水と反応することで、水和反応を起こし、固まる際に高い密閉性と生体適合性を発揮します。
2. 使用される主な治療分野
MTAセメントは歯科治療で以下のような場面で利用されます:
- 歯髄保護(直接覆髄・間接覆髄)
歯の神経が露出してしまったとき、神経を保護する目的で使用されます。 - 根尖部の閉鎖
根管治療の最終段階で、歯の根の先端(根尖)を密閉するために使用されます。 - 穿孔修復
根管治療中に歯根が穿孔(穴が開く)した場合の修復材料として適しています。 - 歯の再植や外傷の修復
外傷で歯が脱臼した場合の固定や再植後の処置にも用いられます。
3. MTAセメントのメリット
- 高い生体適合性
周囲の歯や組織と良好に馴染みます。 - 封鎖性が高い
微生物や液体の侵入を防ぎ、歯の内部を保護します。 - 再石灰化を促進
歯髄や根尖部の再生を助ける働きがあります。 - 耐久性が高い
長期間安定した状態を保ちます。
4. 注意点とデメリット
- 取り扱いの難しさ
硬化時間が長く、扱いには熟練が必要です。 - コストが高い
他の材料に比べて高価です。 - 色調の影響
長期間使用すると色調が変化する場合があります(歯に影響することも)。
5. まとめ
MTAセメントは、特に歯の神経や根管治療の場面で効果を発揮する優れた材料です。生体適合性が高く、組織の修復や保護に役立つため、歯科治療において欠かせない存在となっています。ただし、高いコストや取り扱いの難しさがあるため、使用できるのは主に自費診療であるケースが多いです。
しかしながら、当院では間接覆髄、直接覆髄には保険診療でもMTAを使用しています。
侵襲の少ない歯の治療を希望する方は当院へご相談下さい。