
顎矯正とマウスピース矯正のコンビネーション治療とは?
顎矯正とは?
顎矯正というフレーズは、顎の骨を外科的に切断して再構築する時にも使われますが、ここでは、
“歯の形態を調整し、奥歯の噛み合わせを挙上して、下顎を関節が求める理想的なポジションに導く治療”
という意味で使用しています。
つまり
顎矯正➡顎の位置の矯正
インビザライン➡歯並びの矯正
という事です。
どんな人に適した治療?
顎矯正は、主に顎に何かしらのトラブルを抱えている方が対象となります。
特に代表的な症状として、「顎関節症」があります。
顎関節症の方の多くは、かみ合わせに問題をもっている事が多く、本来の関節が求める顎の着地点ではないポジションに、歯の誘導によってむりやり着地せざる負えない状態となっている事がほとんどです。
要するに、上下の歯をかみ合わせようとすると、どこかの歯が先にぶつかって、その歯のせいで下の顎が不適切なポジションに誘導されている状態です。
こういう状態は、例えると、傾いたベッドで毎日寝ているとか、片足のかかとだけがすり減った靴で長距離を歩くとか、傾いた椅子で生活する、といったような状況と似ていて、歪みが長期間身体に蓄積して、ある時不快な症状を発症します。
顎関節症の治療方法には様々ありますが、このように歯の位置によって下の顎が長期間良くないポジションに誘導され続けた方は、根本的に症状を改善したい場合、顎が適正な位置に着地できるよう導いてあげる必要があります。
健康保険では、スプリントという取り外しの装置を製作し、その装置を入れている間は顎が正しい位置に着地するよう導くといった治療を行います。
しかし、歯の位置に問題がある場合、スプリントを外してしまうと、また良くない歯による顎の誘導が始まり、元の悪い顎の位置に戻ってしまうため、良くなったり悪くなったりを繰り返す対症療法的な意味合いの治療となってしまいます。
また、歯ぎしりなどで、奥歯の高さがすり減って、咬合の高さ自体が下がっていて、顎関節に負担過重となってしまっているようなケースもあります。
このようなケースでは、根本的に解決するためには、咬合の高さを本来の位置に回復する必要もあり、スプリントではもちろん解決が難しいし、歯の形態の修正に介入せず、歯の位置のみを並べ直す、歯並びの矯正だけでは、かみ合わせの高さを回復する事は難しいため、治療が困難となります。
上記2パターンのようなケースに、
“咬合の挙上+マウスピース矯正”
という手法が有効となるわけです。
咬合を挙上する事によって、下の顎を不適切な位置に誘導している歯の接触をなくせると同時に、すり減って低くなった歯の高さも回復でき、かみ合わせの高さをも回復する事ができます。
下の顎の働きとは?
下の顎は体にとってジャイロセンサーのような役割をしていると言われています。
アルペンスキーの選手の身体の動きをよく見ると、身体は地面に対していろいろな角度となりますが、下の顎は常に地面と平行になっています。
そういった、身体の自然な働きによって、下の顎が不自然なポジションにある場合、全身の姿勢保持にも悪い影響が出てくるわけです。
まとめ
まとめますと、快適な姿勢保持と、歯の寿命を長く保つ事や、虫歯や歯周病、歯の破折を起こしにくい口腔、顔面の状態というのは、
- 顎が正しい位置に着地できている事
- 正しい顎のポジションで、全ての歯がバランスよく接触できる歯の位置(歯列)である事
- 個々の歯に十分な高さがある事
が重要な要素となります。
したがって、“顎矯正+マウスピース矯正”はその全てを改善できる方法と言えます。
一般歯科で矯正をするメリットとは?
このような治療こそ矯正専門の歯科医院ではなく、一般歯科で矯正治療を行うメリットとなります。
矯正専門の医院では、歯の形には介入せず、今の歯の状態を並べ直しして歯並びを整える事が主流となります。
そのため、年齢が若く歯に摩耗などがまだない場合は適していると言えますが、歯がすでに摩耗している、顎に問題がある、人工物が歯に装着されているといった、成人矯正の場合は、歯並びの矯正の他に付随する処置が同時にできる一般歯科は非常にメリットが大きく、仕上がりも綺麗に仕上がります。
顎の不快な症状に悩まれている方、歯ぎしりで歯がすり減ってお困りの方、肩こり、首コリが身体の同じ片側ばかりに起きる方、など一度当院でかみ合わせが正常な状態か確認してみる事をオススメします。
当院では初診時にサービスとして、お口の中を3Dスキャンしディスプレイで客観的に見る事ができる状態にし現状を把握して頂けるような取り組みをしています。